があらんどう

伽藍洞です。

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国宝を映画館で観た〜記録と少し考察〜

話題の映画 国宝を観に行った。
感動したので記録。

物語の主軸は歌舞伎役者のお話。

戦後くらいから主に1980年 90年代くらいまでを中心として2010年代くらいまでが描かれている。

主人公は歌舞伎役者の家の子ではなく、ヤクザの子供として産まれて
親分だった父親は抗争で死亡。
歌舞伎役者に見込まれて部屋住みとなる。
歌舞伎役者の家の子として産まれなかったために苦悩する内容を中心としている。

以下ネタバレあり。


趣味で歌舞伎の真似をしているところを巡業にきた歌舞伎役者に見込まれる。
父親が抗争の結果、死亡、頼れるものがいなくなり
歌舞伎役者の家に部屋子となる部分がことの起こり。
このとき主人公は中学生くらい。

おかみさんに疎まれつつも、天性の才能でメキメキ上達していき、同い年の旦那の息子とともに高め合っていく。

女形として一度は栄光を掴みながらも古いしきたりや忖度の中で身を持ちくずしかける。
しかし、歌舞伎への思いを捨てずに再起をはかり、最終的には大成、人間国宝に指定される。

大枠ではこのようなストーリーである。

実際のストーリーではなく、何人かのモデルを元に作られたストーリーだそうだ。
とはいいつつも著名な女形である5代目坂東玉三郎が歌舞伎の家に生まれずに人間国宝になっているという類似性を見れば、主なモデルは推して測るべしというところなのかもしれない。

芸に生きる人の苦悩を歌舞伎という枠組みの中でストレートに描き出していると感じた。
芸の精進という名目のもとで様々な誘惑や落とし穴がある世界。歴史があるがゆえにしがらみが多く、ストレートに芸の達者具合が役や興行に直結するわけではない。
人気商売ゆえの理不尽な売れ方と理不尽な没落。
こうした内容をうまく取り入れることができているのは歌舞伎というプラットフォームだからだとも言える。
非常に良い舞台であると感じた。
逆に言えば2匹目のどじょうがいそうな気がする。


国宝を観てしばらく経ってだが、NHKの映像の世紀で女形の歴史をあつかった番組をみた。
意外だったのは女形自体の歴史は男衆歌舞伎になっから存在するが、特に注目されるようになったのは明治以降であるという点であった。


ここから疑問点と考察
ストーリーの根幹に関わる部分だが、歌舞伎の興行と配役は誰が決めているのか。
主人公および旦那の息子は一度本流の歌舞伎から離れてカムバックするという流れをとるのだが、戻ってきたからといって誰がその人を使おうと決めて興行を行うのだろうか。
戻ってきたらその後サクッと成功(のように描かれる)のは少し違和感。
物語として面白いからいいのだけど。
興行主となるとタニマチとか冒頭にでてくるヤクザとかになるのか?
また、興行っていったどのくらいの家?役者の数と裏方の数がいれば打てるのか。
どのくらいの家が協力して興行をしようとなるのか。
歌舞伎界のことを知らないのでその辺りが気になった。

旦那が襲名披露で血を吐いて倒れる場面。
かなり強いインパクトを残して、後ろ盾を失った主人公が没落する契機となる重大なシーンである。
旦那は糖尿病を患っていたが、吐血するだろうかという疑問。
肝硬変からの食道静脈瘤破裂だろうか。
インパクトありきなシーンだったかと感じた。
でも演出として素晴らしかった。

本作はかなりリアルよりな演出だと感じたが、
芸の極みに達する、境地という映像化も口で表現するのも難しい点を美しい景色と表現するところが異質なためより際立って見えた。
これは映像化も難しいところだろうが、良いシーンに感じた。

個人的にはラストで隠し子がカメラマンとして現れるのがちょっといただけなかった。
内容としてというよりかは隠し子役の演技が残念すぎて萎えてしまった。