があらんどう

伽藍洞です。

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『パンチラインの言語学』感想

言語学バーリトゥードの川添愛先生の本ということで読んでみた。全体としてはエンタメ8割・言語学2割くらいのバランスで、かなり読みやすい一冊。
エンタメ8割言語学2割ということで確かに『言語学バーリトゥード』に比べてもさらにエンタメ寄り。
川添先生の軽妙な語り口は相変わらずで、むしろより強く出ている印象。
個人的にはプロレスネタがもう少し欲しかった。
以下読書メモ。

フラッシュ・ゴードンが来てる

作品はテッド。見たことないんだよね。
換喩(メトニミー)の話。
ja.wikipedia.org
概念的に近いものを使って表現する仕組みで、身近にいくらでもある。
この発想を広げていくといろいろ応用できそう。

とびきり甘い人生

作品はチャーリーとチョコレート工場。おかっぱのジョニーデップが受け入れにくいというのに共感。
共感覚比喩の話。
五感の表現を別の感覚や感情に転用するもので、「甘い香り」「黄色い声」などの例がわかりやすい。
特に日本語の「甘い」は様々ないい意味にも、悪い意味にも使われて特殊だということ。

めざせカッちゃん甲子園

作品はタッチ。
7・5調のリズムやモーラの話。
語順を少し崩すことでリズムが整うのが興味深い。
日本語の“気持ちよさ”の一端を感じる。

今のあの子ではムリ

作品はガラスの仮面。

あの鳥のこと好きだったのかい

作品はファーストガンダム。

偉い人にはそれがわからんのです

ガンダムの倒置法の話。わかりきった情報を後ろに回す型と、新情報を後ろに置く型の2種類があるという整理が面白い。
終助詞「よ」のニュアンスの深さも印象に残る。

やっ……ってますね

作品は不適切にもほどがある
2モーラ+2モーラの略語が心地よいという話。

なりたい自分になりたい

作品は違国物語。
同じ日本語でも通じない理由として、「言葉にした時点で情報がかなり落ちる」という指摘が刺さる。
コミュニケーションの本質的な難しさを感じる。
本作の違う国の言葉とはこのことらしい 漫画読んでみたい。
映画もアマゾンプライムにある。

最もフィジカルで最もプリミティブで最もフェティッシュなやり方でいかせていただきます

地面師。
ここだけ異様に熱量が高くて笑った。
私はピエール瀧のもうええでしょうが好き。
これは関西弁にみせかけてるけどピエールの出身の静岡弁に根差しているんだよねーと思いながら読んだけど、
川添専制的には5位かい!低いな。
ルイヴィトンはアドリブだったとは驚き。
両唇音ということで小気味良いのだそうだ。音声学者、娘とことばの不思議に飛び込む
川添先生は他のブランドでも叫んで試したそうな。
させていただくの使いかた 椎名美智 ナリスマスの意味の変遷

今行くからよ

極悪女王
終助詞「よ」の使い方の話。ニュアンスの違いが細かくて、日本語の奥深さを感じる。

できないやつは教えればいい

スクールオブロック
英語における重言や、「cool」「hot」どちらも“かっこいい”になる話など。

出たー!クラウザーさんの〇〇だー!

デトロイトメタルシティ
デトロイトメタルコピーというWebサイト
「出たー」などの表現は、すでに期待している前提がある言語という指摘が面白い。日常でもよく使う感覚に納得。

斬るのが好きなんですか

刃牙道
川添先生、花山推しなんだぁ なんかわかる気がする

こそあどにウソは結構でるんですよ

ミステリという勿れ
このミステリはしゃべくりなんだ。
勝手なイメージとしては寡黙な安楽椅子型の探偵だと思ってた。
横切るがあって縦切るがない 南北であって北南ではない と思うのって言語学的だとのこと。
その感覚がないものとしてこの感覚こそが面白い
指示語(こそあど)の持つ情報量の話が興味深い。

「それ」「あれ」は話し手の認識自分が知らない、知ってるという情報を含んでいる。
そんな奴しらねぇよ
あんな奴しらねぇよ
の例えはわかりやすーい


家族親族を最年少者をら基準とした呼称が使われること=親族名称の第二の虚構的用法 鈴木孝夫ことばと文化

あえて遊びに行くぞ!!!

吼えろペン
名言が良い

ギャグ構造の話
言葉の配置や前提が笑いを生む仕組みが整理。

汚物は消毒だ〜!!

北斗の拳
漫画のセリフを日常に持ち込む楽しさ。実際に使えるフレーズとして紹介されるのが良い。

わが生涯に一片の悔いなし

北斗の拳

だれがノビちゃんのいうこと、うたがうものですか

感情に訴える言葉の強さが際立つ章。
この回はさ、涙なしには観れないよね。特におばあちゃんっこだった私は。

全体として、がっつり言語学というよりは「言葉の面白さを楽しむ本」。
気軽に読める一方で、ところどころにしっかりした言語学的視点が差し込まれている。