タブレットは便利だ。
最近の学生がパソコンではなくタブレットを持つというのもよくわかる。
iPadを個人的に使っているし、仕事でsurfaceも使っている。
手軽に書き込めるのは強力なツールで、QOLが爆上がり…。
…とこんな一歩どころか三歩遅れたタブレット賞賛を書きたいのではない。
今回の話はタブレットの元ネタ、古代のタブレットというべき存在、「書字板」についてだ。
これは板枠の中に蝋や粘土を詰めて、尖った棒で傷をつけることで文字を書く道具だ。
古代ローマの時代から使われていたらしく、書字板はタブレット。
尖った棒はスタイラスペンということでまさに古代のタブレット、タブレットの祖先といえる。
この古代のタブレットを作ってみたという話。
調べてみると本好きの下剋上という小説の影響があるようで(コミカライズ版を読んでみたがおもしろい)
書字板を作っている方はたくさんいるようで作例はweb上にたくさん見つかる。
上で述べたように構造は単純で何らかの枠に蝋を流し込むだけなのでこの二つを用意すれば良い。
調べてみてわかったポイントとしては枠は既製品でも自作でもいいが
本のように開ける構造がよくあるので二つ枠があると良いという点。
蝋はなんでも良いわけではなく融点の低い蜜蝋を使うのが良いという点。
まずは枠だがMDFボードをレーザーカッターで切り出して使うことにした。
以下の三つの画像が今回レーザーカッターで切り出した形になる。
A4サイズ、2.5mm厚のMDFボード三枚を使ってパーツを切り出す。
お皿状に枠を作る必要があるので3枚を貼り合わせて一つの枠とする。
一枚目が表紙部分のパーツ。
切り出す部分は一番外側のラインで、模様は表紙のデザイン。
レーザーカッターで彫刻加工した。今回はバラ窓をイメージして模様を作ってみた。
二つの枠を本のように開閉できるように蝶番パーツを作った。
二枚目、三枚目の鍵状のパーツはこの蝶番を作るための部品である。今回の設計では、このパーツのサイズの関係からMDFボードは2.5mmの厚さである必要がある。
蝶番パーツは10個一組で二組必要なので20個必要だが、壊れやすく、はめあいの関係で多めに並べている。
ちなみに今回の設計はjwcadを利用して作成し、レーザーカッターで加工した。
レーザーカッターは加工業者にデータを渡して加工依頼するか、ファブラボで加工するのが良いだろう。
MDFボード自体はAmazonなんかで簡単に購入できる。
今回はA4三枚必要だが、レーザーカッターの設定ミスによる加工不具合が起きるので多めに買っておくのが無難。
加工出来たら蝶番パーツを10個並べて枠パーツにはめ合わせる。
このとき、パーツの加工精度ではめあいが難しいパーツやパーツが折れるのでとりあえずはめ合わせてみることが重要。
うまくはめ合わせられる蝶番パーツの組み合わせが2組出来たら二つのの枠パーツを図のように両面テープで張り合わせる。
さらに上で組み上げた枠パーツに表紙を両面テープで貼り合わせる。
このとき、表紙パーツの一方の片側のみついている穴が蝶番側と端反対側になるようにする。
この穴は書字板を閉じるためのヒモをつけるためのもの。
すべてが張り合わせたら字を書くための蝋を出来上がった枠に流し込んでいく。
今回使用した蜜蝋はAmazonで購入。
普通の蝋より少しお高め、今回の書字板では二つ使用した。
蜜蝋を入れた耐熱コップは通常の使い方が不可能になるので大事なコップは絶対に使わないように。
私は湯煎中にコップを倒してしまい、鍋も一個おしゃかにした。
蜜蝋に水が入っても台無しになるので注意する。
蜜蝋は枠に入る量より多めに溶かしておくのがよい。
最初に作った時、少しずつ継ぎ足しで流し込んでいったら表面がボコボコになってしまったので
蝋が固まる前に一気に流し込んでしまうのが上手に作るコツ。
縁についてしまった蜜蝋は削り取ることができるのであまり気にしなくてよい。
両方の枠に流し込んだら蝶番を作る。
二つを合わせて適当な長さにカットしたタミヤの5mm径のプラスチック棒を入れてつなぐ。
この方法は簡単だけど少しプラスチックの溶けたヤバめのにおいがするのでもっといい方法があればというのが正直なところ。
ここまでで書字板はほとんど完成なのだが、スタイラスペンを
も合わせて準備していく。
今回は粘土細工などに使うヘラを使った。
このペンにヒモを付けて書字板に括り付け、閉じヒモとして利用する。
パラコードをスタイラスペンに巻き付けて書字板に括り付けた。
こんな感じで完成。
書いてみるとかんな感じ。
視認性はあまりよくない。
ヘラで書いた字を消すとこんな感じ。
字の消し方はヘラでつぶしてもいいし、ライターで局所的にあぶっても消える。
この方が綺麗に消せるかな。
作って使ってみた感想としてはメモ帳としての機能は十分といえる。
視認性が悪く、削りカスが字の周りにつくのも少しうざいが
SDGs的観点から言えば理想的なメモ帳といえるのではないだろうか。
紙がない、あるいは紙が高価な時代には便利な道具であったことは間違いないだろう。
表紙のデザインに凝ってみてもいいし、拡張性が楽しめる工作といえるのではないか。